忍者ブログ
ぼちぼち のんびり ゆっくりと

<ほのぼの10題>


08:二回目の散歩

下の続きを読むからどうぞ
 
 
 

PR

◆マーナからライトへ

ライトへ
今、私は本日二回目の散歩をしているところです。
実はさっき母さんとけんかをしてしまって。
反省の意味を込めて一人とぼとぼと歩いています。
けんかの理由は聞かないでね。
自分でもなんであんなことでけんかしちゃったんだろうと思うくらいくだらない理由なんだから。
土手に座ってこの手紙を書いているけれど、きらきらした夕焼けと涼しい風がまるでなぐさめてくれているようで、心がだんだんと落ち着いてきました。
不思議ね。

マナとおじいさん、その後どうなったのかしら。
手紙では書いてくいなかったけれど、もし、ようやく出会えた二人ならそっとしておいてあげて欲しいわ。
会いたくても会えないということはとても辛いことだから。
二人とも幸せになれるといいなと思ってます。
それにしても。
マナはまるでおじいさんに会いにいくために、ライトと出会って旅をしていたみたいね。
とてもかしこい猫だから、きっとライトなら連れて行ってくれるって思ったのかも。
ふふふ。全てはライトがここに帰ってきてから聞くことにします。
楽しみにしてるわ。

ああ、風が随分と寒くなってきました。
空も太陽が落ち、赤色の名残だけが空を染めています。
もう帰らなきゃ。弟がきっとお腹がすいたってわめいているわ。
ライトは今どこにいるのかしら?
元気でやってるのかしら?
お腹はすかせてないかしら?
早くライトの声が聞きたいです。
風の郵便屋もライトをつれて帰ってきてくれたらいいのに。
そう言ったら、人はダメだよって怒られちゃったわ。
帰ってくるの楽しみに待っています。
飛び切りの笑顔とお帰りなさいと一緒にね。

それでは、またね。
マーナから大切なライトへ。
優しい風がひゅるりと吹く緑の土手の上から。

 お題配布先→追憶の苑様(http://farfalle.x0.to/



追記を閉じる▲

<ほのぼの10題>


07:日が暮れる前に行けるところまで

下の続きを読むからどうぞ
 
 
 

◆ライトからマーナへ

マーナへ
こんばんは、マーナ。
今、トイスとシェリナの半分を過ぎたくらいにある山の中の小さな村にいます。
山深い所にある村なので、随分と寒く感じます。
日が暮れる前に行けるとこまで行きたくて頑張ったのですが、この山を越えるのはちょっとムリだったみたいです。
夜も更けてこの村に着いたのだけれど、誰も家に泊めてくれなくて。
この寒さで野宿はしんどいなと思っていたら、突然、マナが歩き出したんだ。
ひょこひょことね。
そして、ある古い家のドアの前に立ったかと思うと、「にゃあ」とひとつ鳴いたんだ。
小さな小さな泣き声だった。
本当なら聞こえるはずのない声なのに、ドアがゆっくりと開いて。
一人のがんこそうなおじいさんが出てきたんだ。
「にゃあ、にゃあ」
と鳴くマナを一瞥して、僕を見て。そして、家に入りなさいって言ってくれたんだ。

温かなお風呂とスープをいただいて、ふかふかのベッドがある小さな部屋に入らせてもらって、今、手紙を書いています。
……また、マナに助けられたよ。
今、マナはこの部屋にはいません。
さっきのおじいさんの所にいます。
ひざの上で気持ち良さそうに眠っていました。
まるで昔からおじいさんのことを知っていたみたいに、ずっとおじいさんの側から離れません。
おじいさんもまた、何も語らず、ただ優しくマナを撫でるだけ。
なんだか僕はそこに入っていってはいけないような気がして、そっと、この部屋に戻りました。
もしかして、もしかしてだけど、おじいさんはトイスにいた人かもしれません。
僕の憶測だけれど。
明日、聞けるようなら聞いてみようかなと思ってます。
おじいさんはトイスのことをご存知ですかって……。
答えてはもらえないかもしれないけどね。
もしかしたら、マーナにマナを紹介できないかもしれないな。
ここに残りたいマナを無理矢理シェリナに行かすことはできないからね。
マナのしたいようにさせてあげたいと思います。

ああ、随分、風が強くなってきた。
窓を叩く風音が強くなってきたよ。木達も激しく揺れています。
窓から見える空は、真っ暗で星がひとつも見えません。
明日は晴れるといいのだけれど。
それでは、また。
ライトから大切なマーナへ。
温かな暖炉の前で静かに眠るマナとおじいさんを思いながら。

それから。
「帰る場所」はいつもマーナの所だと思ってるし、願っているよ。
いつもありがとう。

 お題配布先→追憶の苑様(http://farfalle.x0.to/



追記を閉じる▲

<ほのぼの10題>


06:きらきら輝く

下の続きを読むからどうぞ
 
 
 

◆マーナからライトへ

ライトへ。
今日は、以前、雨が降って行けなかった海へみんなで行きました。
きらきら輝く海はとてもきれいで美しくて。
弟はもうはしゃいで大変でした。
あれからなかなか連れて行ってやれずに可哀想なことをしたので、
たくさんのお弁当や飲み物を持って行ったの。
朝早くから夕暮れ時までずーっといたわ。
弟は疲れたのか、もう寝てしまってます。
よっぽど楽しかったんだと思うわ。
寝ながらにやにや笑っているの。
きっと、海で遊んでいる夢でもみているのでしょう。

遠くにある水平線を眺めながら、ふとライトのことを思い出しました。
水平線のその向こうには、ライトがいるのかしらって。
少しだけ、少しだけ、寂しく思ってしまったけれど、もうすぐ会えるのだからと思い直しました。
……もちろん、寄り道なんてしてないでしょうね。
してたら、本当に怒るからね。

リュセの花、見つかって良かったわね!
女の子もさぞかし喜んだことと思います。
しかも、マナが見つけただなんて、驚きました。
何だか、マナが普通の猫じゃないような気がしてきたわ。
トイスに一匹だけ残っていたのも不思議だし、何となくだけど、ライトを守ってくれているような気がするの。
会えるのがとても楽しみになってきました。

こちらは相変わらずな日々を過ごしています。
朝が来て、畑仕事をして。昼が来て、家を片付けて。そして、夜が来て。
その繰り返しの日々だけど、トイスを思えばその当たり前の日常がとても愛おしく思えるようになりました。
その当たり前の日常が、いつかわるか分からないもの。
一日一日を感謝して生きていかないといけないって、最近思うの。
ライトのおかげね。

ねえ、ライト。
あなたが望むなら、私はずっとここにいて、あなたに「おかえりなさい」と笑って迎えてあげる。
だから、あなたは必ずここに戻ってきてちょうだい。
そうすれば、また、「いってらっしゃい」と送り出すことができるから。
私がライトの「帰る場所」になれたらいいと思うの。
ずっと。ずっと。
今日も星に祈って眠るわ。
ライトが無事に戻ってきますようにって。
それでは、またね。
マーナから大切なライトへ。
きらきら輝く海と繰り返す波の音を思い出しながら。

 お題配布先→追憶の苑様(http://farfalle.x0.to/



追記を閉じる▲

<ほのぼの10題>

05:水平線の、その向こう

下の続きを読むからどうぞ。
 
 
 

◆ライトからマーナへ

マーナへ
元気ですか?
この前の手紙からそれほど時間が経っていないのは、あれからクスードの町をすぐに立ち去ったからです。
と言うのも、結局クスードでは何もわからなくて。
仕方がないので、師匠に手紙でそのことを伝えると、取り合えず戻って詳しく報告をするように言われたからです。
とても心残りだけど、シェリナへ戻ろうと思います。

ああ、でも、リュセの赤い花は見つかったよ。
でもそれは僕が見つけたのではなくて、なんと、マナが見つけてくれたのです。
朝早くから夕方までいろいろな所を女の子と探して探して。それでも見つからなくて。
帰る時間になった時、突然マナがひょうひょうと歩き出したんだ。
しばらく歩いていると、小さな公園にたどりついた。
その片隅には、これまた小さな花畑があって。
その花畑の真ん中で立ち止まったマナのすぐ下を見ると、桃色や白色のリュセの花の中で、一輪だけぽつんと赤い花が咲いていたんだ。
マナのやつ、まるで最初からそこにあったのを知っていたみたいだったな。
本当、不思議な猫です。

マーナの言う通り、その花は女の子にあげたよ。
すっごく喜んでくれて、その日の夜は、いっぱいごちそうを作ってくれたんだ。
とても美味しかったよ。
マーナの家でいただいたご飯を思い出して、早く帰りたくなってしまった。

今、夕暮れの海辺を歩いています。
マーナが見たいと言っていた夕暮れ時の海です。
泣きたくなるくらい美しくて、そして横にマーナがいないことがひどく寂しいです。
なのに、遠くまで広がる水平線を見ていると、この水平線の、その向こうには何があるんだろうと思ってしまって。
旅に出ているとシェリナの町が恋しくてたまらなくなるのに、
知らない土地を、見知らぬ海を思うと、もっともっと色んな場所へ行ってみたくなる。
「おかえり」と笑って迎えてくれるマーナがいてくれるからなのだろうけれど、
この欲求はどこまで行くのか、どこまで行けば納得するのか、少し怖くなります。
世界はきっともっと美しくて優しくて、そして残酷だ。
そして、人はとても小さくて脆くて、そして愛おしい。
そのことを確かめる為に僕は旅を続けているのかもしれません。

ああ、訳がわからないことを書いてしまったな。ごめん。
とにかく今はシェリナの町に向かって歩を進めています。
雪が降り始める前に、帰れますように。
こちらでは風がだいぶ冷たくなってきたよ。
それでは、また。
ライトから大切なマーナへ。
赤と青が静かに混じった空に溶ける水平線を見つめながら。

 お題配布先→追憶の苑様(http://farfalle.x0.to/



追記を閉じる▲

<ほのぼの10題>


04:夕暮れ時の海を見に行こう

続きを読むからどうぞ。
 
 
 

◆マーナからライトへ

ライトへ
こんにちは。今日は朝から生憎の雨です。本当、久し振りに降る雨よ。
からからに乾いていた大地が雨で潤ってとても気持ち良さそうです。
もちろん私もだけれど。
弟は外で遊べないって文句ばかり言ってるわ。

トイス、大変だったのね。
よく巻き込まれなかったと感心するわ。相変わらず悪運が強いというか、呆れてしまいます。
こんな時、近くにいられないというのは、とても歯痒いわ。
これがライトの仕事だから仕方がないのだけれど。
それにしても。
トイスの町はまるでライトが来るのを待っていたみたいね。
ライトがトイスを見届けたのを確認して、崩れたみたい。
町の人々は、こうなることを知っていたのかしら。
それとも、町の人々が消えてしまったから絶望した町が崩れてしまったのかしら。
どちらだったのか、もうわからないわね。
知っているのは黒猫……マナだけ。
そうそう、マナは誰かさんに似ているって言ってたけれど、誰のことかしら?
もちろん、私じゃないわよね。
会えるの楽しみにしています。

リュセの花。
もし見つかったら、私はいらないわよ。
私はもう十分幸せだもの。
仲良くなった女の子に渡してあげてください。
お母様、早く元気になるといいわね。
女の子に幸福が訪れることを祈っています。

今日、本当は海にみんなで行くはずだったの。
今までハッチの収穫で忙しくて弟にどこかへ連れて行くことができなかったから。
お弁当をもって飲み物を持ってさあ行こうとなったら雨が降ったでしょ。
もう、弟がぐずって大変でした。
でも、明日はきっと晴れると思うわ。そんな気がするの。
ほら、雨もやんできたし。
ねえ、ライト。覚えてる?
あなたが、昔、夕暮れ時の海を見に行こうって言ってくれたの。
大好きな猫が死んで私が落ち込んでいた時、そう言ってくれたわ。
あの時は、結局行く前に家族に見つかって行くことができなかったけれど。
いつか行ってみたいわ。
金色のヒカリを放ちながら海へと沈む太陽はきっと美しいでしょう。
また、金色のヒカリを掬い取った海も、きっと。
夕暮れに沈む太陽は終わりではなく、きっとはじまりで。
そう思いながら人は生きていくのだと思うわ。
うまく言えないけれど。
トイスの人達もそう思っていてくれればいいわね。
なくしてしまったけれど、きっとその思いはそばにあるんだわ。
いつの日も。きっと。

ああ、雨もやんで光がさしてきました。
生まれ変わった世界はこんなにも美しいのね。
それでは、またね。
マーナから大切なライトへ。
雨上がりの透き通った香りがするシェリナの町から。

 お題配布先→追憶の苑様(http://farfalle.x0.to/



追記を閉じる▲