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ぼちぼち のんびり ゆっくりと

お題『ほのぼの10題』05:水平線の、その向こう

<ほのぼの10題>

05:水平線の、その向こう

下の続きを読むからどうぞ。
 
 
 

◆ライトからマーナへ

マーナへ
元気ですか?
この前の手紙からそれほど時間が経っていないのは、あれからクスードの町をすぐに立ち去ったからです。
と言うのも、結局クスードでは何もわからなくて。
仕方がないので、師匠に手紙でそのことを伝えると、取り合えず戻って詳しく報告をするように言われたからです。
とても心残りだけど、シェリナへ戻ろうと思います。

ああ、でも、リュセの赤い花は見つかったよ。
でもそれは僕が見つけたのではなくて、なんと、マナが見つけてくれたのです。
朝早くから夕方までいろいろな所を女の子と探して探して。それでも見つからなくて。
帰る時間になった時、突然マナがひょうひょうと歩き出したんだ。
しばらく歩いていると、小さな公園にたどりついた。
その片隅には、これまた小さな花畑があって。
その花畑の真ん中で立ち止まったマナのすぐ下を見ると、桃色や白色のリュセの花の中で、一輪だけぽつんと赤い花が咲いていたんだ。
マナのやつ、まるで最初からそこにあったのを知っていたみたいだったな。
本当、不思議な猫です。

マーナの言う通り、その花は女の子にあげたよ。
すっごく喜んでくれて、その日の夜は、いっぱいごちそうを作ってくれたんだ。
とても美味しかったよ。
マーナの家でいただいたご飯を思い出して、早く帰りたくなってしまった。

今、夕暮れの海辺を歩いています。
マーナが見たいと言っていた夕暮れ時の海です。
泣きたくなるくらい美しくて、そして横にマーナがいないことがひどく寂しいです。
なのに、遠くまで広がる水平線を見ていると、この水平線の、その向こうには何があるんだろうと思ってしまって。
旅に出ているとシェリナの町が恋しくてたまらなくなるのに、
知らない土地を、見知らぬ海を思うと、もっともっと色んな場所へ行ってみたくなる。
「おかえり」と笑って迎えてくれるマーナがいてくれるからなのだろうけれど、
この欲求はどこまで行くのか、どこまで行けば納得するのか、少し怖くなります。
世界はきっともっと美しくて優しくて、そして残酷だ。
そして、人はとても小さくて脆くて、そして愛おしい。
そのことを確かめる為に僕は旅を続けているのかもしれません。

ああ、訳がわからないことを書いてしまったな。ごめん。
とにかく今はシェリナの町に向かって歩を進めています。
雪が降り始める前に、帰れますように。
こちらでは風がだいぶ冷たくなってきたよ。
それでは、また。
ライトから大切なマーナへ。
赤と青が静かに混じった空に溶ける水平線を見つめながら。

 お題配布先→追憶の苑様(http://farfalle.x0.to/

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