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さらさら日記

ぼちぼち のんびり ゆっくりと

お題『ほのぼの10題』04:夕暮れ時の海を見に行こう

<ほのぼの10題>


04:夕暮れ時の海を見に行こう

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◆マーナからライトへ

ライトへ
こんにちは。今日は朝から生憎の雨です。本当、久し振りに降る雨よ。
からからに乾いていた大地が雨で潤ってとても気持ち良さそうです。
もちろん私もだけれど。
弟は外で遊べないって文句ばかり言ってるわ。

トイス、大変だったのね。
よく巻き込まれなかったと感心するわ。相変わらず悪運が強いというか、呆れてしまいます。
こんな時、近くにいられないというのは、とても歯痒いわ。
これがライトの仕事だから仕方がないのだけれど。
それにしても。
トイスの町はまるでライトが来るのを待っていたみたいね。
ライトがトイスを見届けたのを確認して、崩れたみたい。
町の人々は、こうなることを知っていたのかしら。
それとも、町の人々が消えてしまったから絶望した町が崩れてしまったのかしら。
どちらだったのか、もうわからないわね。
知っているのは黒猫……マナだけ。
そうそう、マナは誰かさんに似ているって言ってたけれど、誰のことかしら?
もちろん、私じゃないわよね。
会えるの楽しみにしています。

リュセの花。
もし見つかったら、私はいらないわよ。
私はもう十分幸せだもの。
仲良くなった女の子に渡してあげてください。
お母様、早く元気になるといいわね。
女の子に幸福が訪れることを祈っています。

今日、本当は海にみんなで行くはずだったの。
今までハッチの収穫で忙しくて弟にどこかへ連れて行くことができなかったから。
お弁当をもって飲み物を持ってさあ行こうとなったら雨が降ったでしょ。
もう、弟がぐずって大変でした。
でも、明日はきっと晴れると思うわ。そんな気がするの。
ほら、雨もやんできたし。
ねえ、ライト。覚えてる?
あなたが、昔、夕暮れ時の海を見に行こうって言ってくれたの。
大好きな猫が死んで私が落ち込んでいた時、そう言ってくれたわ。
あの時は、結局行く前に家族に見つかって行くことができなかったけれど。
いつか行ってみたいわ。
金色のヒカリを放ちながら海へと沈む太陽はきっと美しいでしょう。
また、金色のヒカリを掬い取った海も、きっと。
夕暮れに沈む太陽は終わりではなく、きっとはじまりで。
そう思いながら人は生きていくのだと思うわ。
うまく言えないけれど。
トイスの人達もそう思っていてくれればいいわね。
なくしてしまったけれど、きっとその思いはそばにあるんだわ。
いつの日も。きっと。

ああ、雨もやんで光がさしてきました。
生まれ変わった世界はこんなにも美しいのね。
それでは、またね。
マーナから大切なライトへ。
雨上がりの透き通った香りがするシェリナの町から。

 お題配布先→追憶の苑様(http://farfalle.x0.to/

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