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ぼちぼち のんびり ゆっくりと
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リリイとキットにはお気に入りの場所があります。
そこはリリイが住んでいる所よりも少し上にあって。
晴れた日には、上は星空、下は町の灯が同時に見ることができる、リリイとキットが大好きな場所です。
リリイはキラリの丘と名付けました。
今夜も一人と一匹はほのかに明るい山道をテクテクと歩き、キラリの丘へ来ました。
念の為、植木鉢も持って来ています。
良く澄んだ透明な空。
空も町もとてもきれいです。
リリイとキットはお気に入りの木でできたベンチに座りました。
このベンチもお父さんが作ってくれたんだっけ。
リリイはほおっと息を吐きました。
この場所もお父さんとお母さんから教えてもらったのでした。
今、二人は仕事で遠くへ行っています。
行く前は今年中に帰って来ると言っていたのですが、あののんびり屋の二人ですからもう少し延びるかもしれません。
少し寂しいですが、ここにくればいつだって二人に会えるような気がします。
だからリリイはここが大好きなのでした。
「きれいね、キット」
「ニャア」
今夜は吐く息も白く少し寒いですが、月が明るくとても静かで、心がシンときれいになっていくようでした。
リリイは目の前に置いた植木鉢をじっと見つめます。
そこには朝と同じ蕾のままの一輪の花がありました。
「育て方がわるかったのかしら?」
リリイは、はあっと大きく溜息を吐きました。
土が良くなかったのか。
水をやりすぎたのか。
日光が足りなかったのか。
今となってはわかりません。
せっかく託してくれたのに。
レイとライをがっかりさせてしまうかしら。
後もう少しで咲きそうなのに。
リリイは何だか悲しくなってきました。
「ニャア……」
心配そうにキットも鳴きます。
その時です。
<3-2へ続く>