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ぼちぼち のんびり ゆっくりと
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クリスマス小話「リリイと花の種」<2>


「リリイと花の種」<2>です。
下の続きを読むからどうぞ。


リリイと花の種<2>

 

朝。

窓から差し込んだ柔らかな光が頬を撫でると、リリイはベッドから飛び起きました。

すると、リリイの布団の上で気持ち良く寝ていたキットが滑り落ちて、

「ニャッ!」

と抗議の声を上げましたが、

「ごめんね、キット!」

そう声をかけて、パジャマのまま外へ飛び出して行ったのです。

靴をはいて外に出て、一目散にお日様の光が一番当たる庭の所へ向かいました。

そこには、あの不思議な二人組、レイとライから預かった種が植木鉢に植わっていたのです。

茎も葉も出て来て蕾もついたのですが、昨日見た時には蕾は固いままで咲く気配が全くなかったのです。

今日咲かないと困るのに。

リリイはとても不安で、夜もあまり眠れませんでした。

ドキドキしながら、リリイは花の近くに行きました。植木鉢を眺めて、ほっと息を吐きました。

「良かった。これならきっと間に合う」

その花はふんわりと蕾をほころばせ、もう少しで咲きそうになっていました。

リリイはしゃがんで花をじっと見つめます。

形はまだわかりませんが、幾重にも重なっている花びらは薄いピンク色をしているようでした。

随分とのんびり屋さんな花だけど、この子もきっと一生懸命咲こうとしているはず。

「どんな子なのかしら。早く見たいわ」

リリイはそっとその蕾に触れました。

 

レイとライから種をもらって、リリイはすぐに植木鉢に植えました。

いろいろな図鑑で種を調べたのですが、結局どんな種かわからなくて。

そのため、土の配合も種を植える深さもわからなかったので、リリイが悩んで決めました。

植木鉢には新鮮な水をやり、お日様が一番当たる特等席へ置きます。

ちゃんと咲くのか不安でしたが、リリイは種の力を信じることにしました。

でも。

この種、なかなか芽がでなかったのです。

1ヶ月。

2ヶ月。

3ヶ月。

季節は夏に近づいても、芽を出す気配が全くないのです。

リリイは焦りました。

土を変えようか、植木鉢を止めて直植えにした方が良かったのか、たくさん悩みました。

だけど、最初に決めたように種の力を信じて、じっと待つことにしました。

それに、何となく種が気持ち良さそうに眠っている気がしたのです。

レイもライも、この種のことをのんびり屋さんだって言ってたし。

きっときっと大丈夫。

そう信じて、リリイはじっと待ちました。

そして、12月になって。

ようやく黄緑色の可愛い芽がひょっこり現れたのです。

 

「芽が出た時は本当に嬉しかったなあ」

リリイはふふっと笑いました。

なかなか芽は出ませんでしたが、今ではすくすくと成長し、蕾をつけるまでになってくれたのです。

相変わらず花の種類はわかりません。

大きさはチューリップくらいですが、葉っぱの形がギザギザしていて大分違います。

謎だらけな花ですが、リリイはこの花が何だか好きになりました。

手がかかる子ほどかわいいといいますし。

「もう少し、がんばってね」

リリイがそう呟くと、

「ニャア」

とリリイのすぐ傍でキットの声が聞こえました。

リリイの足を頬ですりすりしています。

朝ごはんの催促でしょう。

「ごめん、ごめん、キット。ごはんにしようね」

「ニャ!」

一人と一匹は仲良く家へ戻って行きました。

 

朝ご飯を食べて、洗濯をして。

バタバタとお部屋中をきれいに掃除すると、リリイとキットは町へ買い物に出かけました。

レイとライがいつ来るのかわからなかったので、早めに夕飯を食べようと思ったのです。

町はクリスマスでいっぱいでとても華やかでした。

人々もみんなニコニコしていて楽しそうです。

「そっか、今日はクリスマスなのね」

花のことがずっと気になっていたので、すっかりクリスマスのことを忘れていました。

豪華なお料理はできませんが、美味しいクリスマスケーキを買ってかえろう。

キットには新鮮なお魚をプレゼントしてあげなくちゃ。

ふふっとリリイは笑いながら、商店街にある小さなケーキ屋さんへ寄って帰りました。

 

夜になって、リリイとキットはクリスマスをしました。

決して豪華ではないけれど、温かい料理と小さいけれど(一人分ですから!)美味しいクリスマスケーキを食べたり。

優しいクリスマスの歌を歌ったり。

今は一人と一匹しかいないけれど。

厳かで、素敵なクリスマスです。

ずっとこうしてキットといられるといいな。

リリイはそんな風に思いました。

 

そうして。

楽しい時間は過ぎ、夕飯を食べ終えても、片付けがすんでも、レイとライは来ませんでした。

そう言えば!

リリイははっと気が付きました。

レイとライに、いつどこへ来るのか教えてもらっていないのです。

どうしよう。今夜は行きたい所があったのに。

リリイはしばらく悩みました。

足元でキットが心配そうにこちらを見上げています。

「……いいわ」

「ニャ?」

「やっぱりキラりの丘へ行きましょう。レイもライも来てくれるかもしれないし」

「ニャニャ」

キットが大きく返事をしました。

 

<3へ続く>

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