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ぼちぼち のんびり ゆっくりと
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あゆみのお父さんが作るクリスマスケーキは、とってもシンプルなクリスマスケーキだ。
生クリームとイチゴがたくさんのっていて、
天使の羽の形をしたホワイトチョコレートの板に、
「Merry Christmas」
って、チョコレートで書いてあるの。
生クリームのホイップは、ピンと立っていて、イチゴはつやつやしている。
白い雪の上に、真っ赤な花が咲いているようで、あゆみはこのクリスマスケーキがとても好きだった。
世界一美味しいクリスマスケーキだって、思ってるんだ。
今日は、クリスマスの日。
イブのわくわく感はちょっとうすれて、落ち着いた雰囲気がする25日をあゆみはとても好きだ。
それに、クリスマスケーキを買いに来るお客さんもたいていは24日に買いに来て、25日はずいぶんと少なくなるし、
今まで準備で忙しかったお父さんとお母さんと久しぶりにゆっくり話が出来るから、あゆみはやっぱりクリスマスの日が好きなんだ。
少なくなると言っても、午前中はお客さんがぱたぱたといらっしゃるから、あゆみもケーキを手渡したりお手伝いをしていた。
「ありがとう。今年も楽しみにしてたんだ」
って、うれしそうにお客さんに言ってもらえて、あゆみはほっこりうれしくなった。
だって、やっぱりお父さんのクリスマスケーキは世界一だって思うから。
楽しみにしてたって言ってくれたらうれしいもん。
あゆみは大きな声で、
「ありがとうございました」
って言っちゃった。
お昼になってしばらくすると、お客さんもだんだん少なくなってきた。
「あゆみ、もういいよ。泰造さんのところに行っておいで」
「え、いいの?」
「うん。予約のお客さんも後5人くらいだからね。お父さんひとりでも大丈夫」
おつかれさま。
お父さんがそう言ってくれたので、あゆみはいそいそとエプロンをはずしていると。
「こんにちは」
「こんにちは」
入り口のドアから声が聞こえてきた。
「はい、いらっしゃいませ!」
そうあいさつをしながら入り口を見ると。
そこには、近所の公園の近くにある交番のおまわりさんと小さな男の子が立っていた。
あゆみは思わずじーっと見つめてしまった。
だって、その男の子が本当にかわいかったから。
男の子は真っ白のふわふわの髪に水色の瞳をしていて。
年は、5歳くらいかな。
大きな瞳で、じいっとこちらを見ている。
手には見たことのある白い箱を持っていた。
あの箱は……。
「どうしたんですか? おまわりさん」
お父さんは店のカウンターから出たので、あわててあゆみも一緒に出た。
「ああ、ちょっとこの子がね、渡したいものがあるそうなんだ」
ね?
おまわりさんは、そう男の子に話しかけてそっとその背中を押した。
男の子はうんとひとつ頷くと、その小さな手をのばして、白い箱をお父さんの方に見せたんだ。
「この箱ね、公園のベンチにね、置いてあったの。落しものだからコウバンに持って行ったら、ここへ持って行ってあげようって言われたの」
「交番では預かれないからね」
おまわりさんは困ったように笑いました。
お父さんは、ありがとうと男の子の持っていた箱を受け取ると、その箱を見渡しました。
「ああ、確かにうちのケーキだ。日付は今日になっているから、今日買って下さったお客様にいると思うよ。ちょっと電話してくるね。ええと、ぼくのお名前は?」
「カリンです」
「カリンくんか。ちょっと待っててもらえるかな。あゆみ、カリンくんとおまわりさんに温かい飲み物を出してあげて」
「はい!」
だけど、おまわりさんは困ったように言った。
「ああ、僕はもう交番へ帰らないといけないから。カリンくん。君は一人で待てるかい?」
「はい」
「じゃあ、僕はこれで帰ります。後はお願いしますね」
そう言って、おまわりさんは帰って行った。
<つづく>