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ぼちぼち のんびり ゆっくりと
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「空に祈る」
飛行機嫌いの彼が今朝海外へ旅立だった。
もちろん飛行機で。
本人かなり嫌がって、もう子ども並みに大騒ぎしていたけれど。
惚れた弱みか何なのか。
恥ずかしいなあと思いつつ、私は言った。
「祈ってあげるから」
「え?」
「飛行機が落ちないように、ちゃんと空に向かって祈ってあげるから」
安心して行って来い!
そう言い放った私に、彼は涙目になりながら飛行機に乗り込んだ。
それから。
私は気が付くと、いつも空を見上げている。
国境なんてちっともわからない。
空はいつだってどこだって広がっている。
この空のどこかに彼がいつも見ている空があるのだ。
元気かな?
笑ってる?
いじめられてない?
美味しいものちゃんと食べてる?
いつだって彼が彼らしく過ごせていますように。
どうか幸せでありますように。
祈りは、いつしかそんな祈りに変わりながら、
この広い空を漂って流れる。
おそらく。
彼の元へと。
たどたどしく飛んでいた幼いツバメが、今では華麗に力強く空を舞っている。
時間はちゃんと訪れ、過ぎ去って行くのだ。
ねえ。
一生分の空を見たから、
そろそろ帰って来ませんか?
メールではなかなか伝えられないから、
顔を見てちゃんと話をしたいよ。
私は相変わらず空を見て、
そんな風に祈るのだ。
お帰りなさい。
そう彼に言うために。
数日後。
彼からメールが届く。
「来月、やっと帰れそうです」