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さらさら日記

ぼちぼち のんびり ゆっくりと

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空に祈る

「空に祈る」


飛行機嫌いの彼が今朝海外へ旅立だった。

もちろん飛行機で。

本人かなり嫌がって、もう子ども並みに大騒ぎしていたけれど。

惚れた弱みか何なのか。

恥ずかしいなあと思いつつ、私は言った。

 

「祈ってあげるから」

「え?」

「飛行機が落ちないように、ちゃんと空に向かって祈ってあげるから」

安心して行って来い!

そう言い放った私に、彼は涙目になりながら飛行機に乗り込んだ。

 

それから。

私は気が付くと、いつも空を見上げている。

国境なんてちっともわからない。
空はいつだってどこだって広がっている。

この空のどこかに彼がいつも見ている空があるのだ。

 

元気かな?

笑ってる?

いじめられてない?

美味しいものちゃんと食べてる?

いつだって彼が彼らしく過ごせていますように。

どうか幸せでありますように。

祈りは、いつしかそんな祈りに変わりながら、

この広い空を漂って流れる。

おそらく。

彼の元へと。

 

たどたどしく飛んでいた幼いツバメが、今では華麗に力強く空を舞っている。

時間はちゃんと訪れ、過ぎ去って行くのだ。

 

ねえ。

一生分の空を見たから、

そろそろ帰って来ませんか?

メールではなかなか伝えられないから、

顔を見てちゃんと話をしたいよ。

 

私は相変わらず空を見て、

そんな風に祈るのだ。

 

お帰りなさい。

そう彼に言うために。

 

数日後。

彼からメールが届く。

 

「来月、やっと帰れそうです」


以前、綴月らいさんが「空」をテーマにした詩を書かれていました。
その詩がとても素敵だったので、
私が「空」で書くとしたらどう書くかなあと思って書いてみました。
(詩ではないですが)
足元にも及ばない感じ……(涙)
日々精進です。



 
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