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さらさら日記

ぼちぼち のんびり ゆっくりと

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お話「不思議な写真」

「不思議な写真」


最初は僕の10歳の誕生日だった。
届いたのは、一枚の写真。
きらきらと夕日に染まる海に一頭のクジラが雄大に泳いでいる……そんな写真だった。
差出人の名前はなかった。
ただ、「黒瀬 保様」と、僕の名前が書かれていただけだった。
がっちりとした力強くて男らしい字。
写真好きの真おじさんが届けてくれたのかなと、僕は思っていた。
それからも、僕の誕生日に不思議な写真が送られてきた。
その写真は、新緑の山の風景だったり、田舎のおじいちゃんやおばあちゃんの笑顔だったり、
海外の子供たちの楽しそうに水遊びしているものだったり、様々だった。
最初は誰の写真かもわからなくて、とても不気味だった。捨てようかとも思った。
真おじさんは、俺じゃないと言ってたし。
でも、僕は結局捨てられなかった。
だって、どの写真も温かくて優しくて。
見ていると心が柔らかくなってくる。
僕はいつの間にか誕生日に送られてくる写真を待ち望むようになった。
もちろん、届いた写真は全部大切にしまってある。僕の宝物だ。
そうして。
数年が経ち、僕は高校を卒業して大学生になった。
家から大学が遠いので、家を出て一人暮らしを始めた。
さすがにここまでは届かないだろうと思っていたら、誕生日の日、写真がちゃんと僕の家まで届いた。
見事に実った稲穂が揺れる美しい棚田の風景。
不思議だ。
相変わらずの男前の文字に、野郎のストーカーかよって思ったけど、ちょっぴり嬉しかった。
誕生日ごとに増えていく写真。
10枚は軽く超えてしまった。
いつも美しくて優しい写真を送ってくれるこの人は、一体どんな人なんだろう。
おっさんかな?
はたまた、イケメンのお兄さん?
白髭が似合うおじいさんとか?
そんな風にいろいろ考えているうちに、段々と僕はこの人に会いたいと思うようになった。
そして、25歳の誕生日。
一通の手紙が届く。
僕は差出人の名前を確かめた。
一週間程前から高知へ旅行に行っている彼女からだった、
ゆっくりと封を開け、中に入っている手紙を読む。
ようやく撮れた写真です。
保さんに早く見せたくて、先に送りますね。
僕はそっと封筒の中から1枚の写真を取り出した。
それは、きらきらと夕日に染まる海に一頭のクジラが雄大に泳いでいる、そんな写真だった。
随分男前な字を書くんだな。
僕はふっと笑った。


らいさんが頑張って書かれている「300文字小説」。
私もやってみよう!と思って、こちらの話でやってみました。

感想。
……む、難しい(涙)

小説と言うよりも、あらすじになってしまいました。
つくづくらいさんは凄いと思います。

++++++++++++++++++++++++++++++

「不思議な写真 300字小説ver.」
最初は僕の10歳の誕生日。
届いたのは、1枚の写真。
夕日に染まる海に一頭のクジラが雄大に泳いでいる、そんな写真だった。
差出人の名前はなく。
ただ、僕の名前が書かれていただけ。
それからも、誕生日には毎年写真が送られてきた。
日常を切り取った写真達は、素朴で温かくて優しくて。
僕は捨てることができなかった。
そして、25歳の誕生日。
1通の手紙が届く。
僕は差出人の名前を確かめた。
彼女からだった。
封を開け、中に入っている手紙を読む。
「ようやく撮れた写真です。
早く見せたくて、先に送りますね」
僕は封筒の中から一枚の写真を取り出した。
それは、夕日に染まる海に一頭のクジラが雄大に泳いでいる、そんな写真だった。
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